トランプ関税2026:世界貿易を揺るがす「相互関税」の現状と各国の対応
トランプ政権が2025年に発動した「相互関税」政策は2026年も継続・拡大されています。中国・EU・日本への影響と各国の報復措置、そして日本企業が取るべき対応策を解説します。
「相互関税」政策の現状
トランプ政権は2025年4月に発動した「相互関税(Reciprocal Tariffs)」を2026年も継続・強化しています。中国製品には最大145%の関税が課され、EU・日本・韓国などの同盟国に対しても業種別に10〜25%の追加関税が維持されています。WTO(世界貿易機関)への提訴が相次ぐ中、米国はWTOの紛争解決機能を事実上無効化する対応を取り続けています。

主要品目別の関税率(2026年2月時点)
- 中国製品(全品目):60〜145%(半導体・EV・鉄鋼は最高税率)
- 自動車・自動車部品(全輸入国):25%(2025年5月発動、継続中)
- 鉄鋼・アルミニウム(全輸入国):鉄鋼25%、アルミ10%(2025年3月発動)
- 半導体・医薬品(調査中品目):Section 232調査継続中、2026年中に追加関税発動の見通し
- 日本からの輸入(相互関税):24%(90日間の猶予後に適用、一部品目は交渉継続)
各国・地域の対応と報復措置
中国
中国は米国製品に対して125%の報復関税を課し、レアアース・レアメタルの輸出規制を強化しています。さらに「信頼できないエンティティリスト」に米国企業を追加し、ボーイング機の発注キャンセルや農産物の購入停止など非関税障壁も活用しています。
EU(欧州連合)
EUは米国製品(バーボン・ハーレーダビッドソン・農産物など)に25%の報復関税を発動する一方、交渉による解決を模索しています。2026年2月時点で米EU間の貿易交渉は停滞しており、デジタルサービス税をめぐる対立も加わって関係は緊張したままです。
日本
日本は報復関税を発動せず、二国間交渉による関税撤廃・軽減を目指しています。自動車関税(25%)が日本の基幹産業に直撃するため、2026年に入っても交渉が継続中です。トヨタ・ホンダ・日産などは米国内生産比率の引き上げを加速させており、部品調達の現地化が急務となっています。
世界経済への影響
- IMFは2026年の世界成長率を2.8%と予測(関税政策発動前の予測から0.5ポイント下方修正)
- 米国内のインフレ率は関税転嫁の影響で高止まり、FRBの利下げ余地が制約されている
- 製造業のサプライチェーン再編が加速し、ベトナム・インド・メキシコへの生産移転が増加
- 米国農家は中国向け大豆・トウモロコシの輸出減少で打撃を受け、農業補助金が拡大
日本企業への影響と対応策
自動車・電機・鉄鋼など対米輸出比率の高い業種では、関税コストの増大が収益を直撃しています。主な対応策として以下が挙げられます。
- 米国内生産の拡大:関税回避のために米国工場への設備投資を加速
- 第三国経由の輸出ルート再構築:メキシコ・カナダ経由(USMCA活用)の可否を検討
- 販売価格への転嫁:米国消費者の価格感応度を見極めながら段階的に実施
- 市場の多角化:東南アジア・インド・中東などの新興市場へのシフトを加速
今後の注目点
2026年後半に向けて、以下の動向が貿易環境を左右します。
- 日米貿易交渉の行方:自動車関税の軽減合意が得られるかどうか
- 半導体・医薬品への追加関税:Section 232調査の結論と発動タイミング
- 米中貿易交渉の再開:水面下での協議が進展するか
- 米国中間選挙(2026年11月):議会の構成変化が通商政策に与える影響